いろんな人のいろんな見解があるようですね。
以下の意見はあくまで僕個人的なものではあります。
が、販売店という消費者とメーカー(代理店)の間にいる立場としてある程度客観的に見れるのではないかと思い今回はあえて書いてみることにしました。
<販売店的意見>自分の場合クロスバイクを探しに来たお客様には基本的にはサスペンションの無い物をオススメします。
1~2年乗れたら良いなんてお客様はまずいません。
少なくとも4~5年は乗りたいと考える方がほとんどだと認識しています。
そういう長いスパンで見た時に、錆びたり動かなくなったりといったトラブルが多いのがその理由です。
つまり、販売店としては廉価サスペンションが2年もすれば錆びたりしてくる事は認識しているという事。
今回の事故のような危険性までは考えてはいないのだけれども。
実際錆びてガタのあるサスペンションのお客様にはフォークの交換ないしメンテナンスは出来る限り勧めています。
物の性質上、動く部分というのは全てメンテナンスが必要となるわけです。
自分がサスペンション無しを薦めるのは、競技志向の無い人にとってはそんなメンテナンス料金は法外に高く感じてしまうから。
接客中にそういった話をした時、メンテナンス不要と思われているお客様が多いことに驚かされます。
自転車の場合は車重も軽く、そこに付加された人間の体重でサスペンションが動かなくてはいけません。
それゆえに車などの比べてシール(パッキン)等が薄くできていますから当然メンテナンスは重要なのです。
自転車の方が車やバイクよりメンテナンスに関してはシビアであるという事を認識していただければと思います。今回のサスペンションも錆び方から見てブーツの中に雨水がたまっていた事が考えられます。
少なくとも数回は雨ざらしにしてしまったり、洗車の際にサスペンションのメンテナンスをしなかった事が想定できるのです。
錆び方からして水道水ではなく雨水の可能性のほうが高いと考えられます。
中でスプリングが折れていた訳ですから、サスペンションの動きも悪いしガタも出ていたはずです。
定期的にメンテナンスをしていたというのが事実であれば、その修理を行っていた自転車店にメンテもしくは交換を進める必要があったと思います。
<自転車のネット販売について>販売店にいた立場として思うのは、ネット販売での絶対的な説明不足。
基本的にネット販売だと保証が利かなくなるパーツが多いのです。
万が一の事故発生の時に、メーカー補償が受けられなくなってしまう事などを通販会社はしっかりと伝えるべきです。
これに関してはいつも感じることであり、サイズの全く合っていない自転車を通販でご購入されたお客様も多いのが現実なのです。
自転車販売店では納車時には30分以上の使用説明義務があります。
そういう意味ではネット販売で自転車を販売すること自体にかなり疑問が残ります。
そういう部分も含め、今回のことに関してはネット通販会社の説明不足という部分が非常に大きいと思います。
さらに、自転車販売店の免許を持っていない通販が多いのも問題。
現状の法律ではそれが許されていることも問題点ではないでしょうか。※ネット販売に関しては好ましく思っていないので客観的ではないかもしれません。
サイクルベースアサヒさんの様に一個一個の商品説明までしっかりと作っている通販会社もあります。
しかしその説明は任意であり、必ずしも消費者が読むわけではないというのも想定して欲しいのです。
※追記3
通販サイトの自転車のパーツ仕様説明がありました。

ここで問題と思われるのが、ほとんどのパーツに関して「ビアンキ純正」と記述されています。
これはカタログには一切無い記述です。
これは通販サイトがビアンキカラーだから書き込んだと考えられます。
少しでもその気にさせて売りたいが為の記述にしか見えません。<パーツメーカーに関して>今回の事故ではRSTサスペンションの構造的欠陥も取り上げられている。
確かにそうなのかもしれないが、構造上ブレーキワイヤーがあり抜け落ちるとは考えにくい。

写真で解るように、自転車に残っている部分の黒いゴムより下がサスペンションの下側に刺さっている部分。
バネが折れていたとはいえ、ウィリーもしくはジャンプしなければ抜け落ちることが無いと思われる。
残念な事に、このような廉価サスペンションには「
悪路での走行禁止」を促すシールが貼られている場合が多い。
これは今回のような事故を想定してメーカーが貼っているように思われる。
PL方対策という事なのだろう。
人命に係わる可能性だってある乗り物に取り付けるパーツを見た目重視で製作し、ステッカーで組織を守るという姿勢は好ましくない。
ここで気づく方も多いと思うのだが、メーカーはある程度このような事故を予測しえたのではなかろうか?
自分が事故にあった時の事を考えると、事故の瞬間どうなって起こったかなんてまず解らない。
まして、目線の先に無いサスペンションが折れたかどうかなど絶対にわからないと思う。
今回の事故でも、歩道の段差を下りたりウィリーしたりしたのでなければ抜けて事故が起きたというよりは事故の結果抜けたと考えた方が納得がいく。
事故にあわれた方には申し訳の無い意見ではあるが。
ただ、絶対の安全という部分から考える場合設計の落ち度はある。
あくまで軽車両用の部品。
コスト優先であっては絶対にならない。
追記。
責任という部分に関しては以下のサイトに書かれている事が解り易いと思いました。
http://chirosangaku.blog109.fc2.com/blog-entry-1151.html#cm
ただ曖昧にパーツメーカーに責任があるかもといっても、関係者じゃなければ意味がわからなかったと思います。
パーツはパーツメーカーのものとして確立されており、車やバイクとの一番の相違点がそこにあります。
車やバイクの場合はパーツメーカーがパーツを作ったとしてもあくまでその車両専用品になります。
しかし自転車の場合はパーツ開発が先にあります。
その市販されたパーツに合う様にメーカーがフレームを作るのです。
つまりパーツありきでの開発になるわけです。※追記2:サイクルヨーロッパ公式コメント
http://www.cycleurope.co.jp/important_news.html今回の事故では色んなところに原因があると思われる。
メンテナンスや使用状況、ユーザーの認識不足や自転車店の説明不足。
どれかひとつでもあれば防げた事故だと思われてしょうがない。
ただ、起こってしまったことに対しての責任的な部分はパーツメーカーにあるように思う。
事故を起こさないための設計、安全上の保険が工業製品には必要ではないだろうか。<自転車メーカーについて>「ビアンキは老舗だし、イタリアの職人が作ったものなので非常に信頼していた。」
今回の事故に関してはイタリアの職人が作っていても同じであったと考えられる。
フェラーリは高いから絶対に壊れないと言っているようなものである。
これに関しては申し訳ないのだが、被害者の方の認識の甘さも感じてしまう。
もし仮にこれがバイクや車であったならすぐに販売店でメンテナンスをしていたのではないだろうか。
ニュースでは車検のことなんかも取り上げられていたが、バイクだって250cc以下は車検が無い。
それこそもっと危険なのである。
どんな物であれ、定期的なメンテナンスは必要。
街乗りであってもサスペンションは2年に一度はオーバーホールが必要であり、競技志向の人であれば1シーズン使用したらOHするのが半ば常識となっている。
しかしながら一般ユーザーの方はそんな事は知っているはずも無い。
これに関しては「販売側の説明義務」のひとつであると思う。
報道では台湾や中国でライセンス生産されていることが問題とされているが、実際そこは争点にならないと思います。
2007年にアキコーポレーションが不具合・交換のお知らせを出している件が取り上げられています。
これに関しては26インチ用サスペンションであり、今回の700Cクロスバイク用とは別の物であると考えられます。
実際に07年のタイミングで交換を呼びかけたりも致しましたが、その当時は700C用のものは販売店としても対象に含めておりませんでした。
ゆえに、そこをもって今回の事故と結びつけるのは安直な気がします。以下抜粋(元記事は
ココクリック)
RSTのサスペンションフォークの取説には以下の記述がある。
RST製品全てにおいて必ず下記のことをお守り下さい。
・製品を改造することはおやめ下さい。改造は事故の原因ともなります。
・製品は、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスは必ず販売店にて行ってください。
メンテナンス不足で事故につながる恐れがあります。
(保証対象外)下記の項目は保証対象外となります。
・品質基準及びお客様の安全にご使用いただくために、通信販売(インターネット販売を含む)で購入された場合。
・正規販売店からの転売が行われた場合。(出荷日時が明確にならない場合。)
・購入から1年未満でも、出荷日時が2年以上経過している場合。
・ご購入後、改造その他誤用された場合。破損が見られる、曲がっている、衝突から障害、お客様が正しいご使用方でない場合。
・お客様における使用上の誤り、不当な改造もしくは修理された場合。
・ご購入時の証明がご提示いただけない場合。または、ご提示いただいた保証書の記載事項が修正により偽造された形跡や改ざんされている場合。
全てのRSTサスペンションのフォークのメンテナンスサイクルの目安
ノーマルコンディション
短い距離を時々乗る 6ヶ月毎
長い距離を時々乗る 4ヶ月毎
ハードコンディション
短い距離を時々乗る 4ヶ月毎
長い距離を時々乗る 3ヶ月毎しかし、事故を起こした中島さんはサスペンションは6年間ノーメンテナンスだったと言っている。
メンテナンスをするように指示も無かったとインタビューで明言していることから、完全にメーカーが推奨するメンテナンスサイクルは守られていないことが証明されている。
さらにはインターネット通販で購入したことが災いして、RSTの品質保証基準を満たしていない。
決定的なことに保証期間の2年も超えている・・・初期不良って話ではないのである。
もし、サスペンションフォークの取説が付属して無かったのなら、インターネット通販ショップに相当の過失があるのだが、TBSはそこまで取材していない。
ビアンキの社長の言葉が状況を示しているのだが。。。
「アキボウがそのサスペンションを選び、ユーザーがその製品を選び使用した。」
中島さんはビアンキの自転車だから選んだのだとしたら、ちょっと冷たい気がします。
さらに、RSTブランドのサスペンションの不具合は別の販売ブランド自転車で危険が告知されていました。
2002年 ネット通販にて新車を購入。7万8000円
2007年 RST製サスペンションの不具合告知(アキコーポレーション)
2008年 事故発生※アキボウとアキコーポレーションは全く違う会社です。RSTは警告を発していたのに、この情報がエンドユーザーまで伝わらなかったのだとしたらサイクルヨーロッパ、アキボウ、通販ショップのいずれかがユーザーへの連絡を怠っていたと言うことになるが、TBSではこのあたりも取材できていないので、その当時どういう対応が可能だったか判らない。
台湾のサイクルショーで無関係な出展スタッフに無意味な直撃インタビューする暇があったらもっと地道な裏づけ取材して欲しいと感じます。(なぜかTBS批判に・・・)
RSTサスペンションならびにサスペションの点検のお勧め
http://www.bike-sonoda.com/001/ アキコポレーションより、以下の文章が添付されましたのでお知らせいたします。
以下引用
自転車を安全にお乗りいただく為の重要なお知らせ
メンテナンス不備によるサスペンションスプリング破損の可能性について
平素は弊社製品をご愛顧いただき誠に有難うございます。
さて、弊社代理店をいたしておりますRST のサスペンションにおきまして、ユーザー様のメンテナンス不足及び販売店様の定期点検の不足から起こる事故がここ数年で3件発生いたしております。
弊社RST の輸入代理店として本国と協議した結果、早急に注意の呼びかけを実施してほしいとの依頼を受け、この度、告知にいたりました。
各お店のユーザー様に、DM等でサスペンションがついている自転車にお乗りの方は定期点検を受けるよう呼びかけてください。
本件に関する案内を弊社ホームページでも告知いたします。
事故内容は3件ともまったく同じ内容です。
26”サスペンションの中に水などがたまりスプリングが錆びて切断状態のまま乗車して、段差等を越える為ハンドルを引き上げた際、アウターレッグが抜けそのまま転倒したという内容です。
最近の販売分は、新しい為問題ございませんが、5-6 年前のモデル(特に26”シングルクラウン)で起こる可能性が非常に高いと思われます。
●弊社取り扱いブランドに関して、このような状況のRST サスペンションに関しては、別紙にある交換商品を3000 円( 税別)にて出荷いたします。
この度、事故が起きた26”モデルのみのご用意となっております。
その他のサイズでこのような状況が見られた場合はご連絡の程お願いします。
交換工賃検査工賃等に関しては、各お店の設定金額になる為、ユーザー様への提示金額はメーカーから告知はいたしません。
●弊社としてこの事故から自転車の販売後の車検制度の導入の必要性を感じ、今後業界に対しても働きをかけたいと考えております。
販売後のメンテナンス制度がなければ本当の安全をお客様に提供できないと思います。
通販の問題等が目立っておりますが、どのような販売経路で購入したとしても車検制度があれば消費者はお金を出して自転車を検査することになります。
ネットで購入された場合は必要以上に経費がかかることはメーカーとしても注意を呼びかけたいと思います。
2007年02月22日セオサイクル
RSTサスペンションフォーク メンテナンス不備に拠るスプリング破損の可能性
RSTサスペンションフォークにおきまして、メンテナンス不備に拠る破損事故がここ数年で3件発生しているとのことです(総輸入代理店アキコーポレーション発表)。
事故内容は3件とも同じ内容です。
雨ざらし等で保管、且つメンテナンス不足でサスペンション内部に水が溜まり、錆びが原因でスプリングが破損、走行中に段差等を超える際などにハンドルを引き上げたときにアウターレッグが抜け、そのまま転倒したという内容です。
特に5~6年前のシングルクラウンモデルで発生する可能性が高いと思われます。
アキコーポレーションの指示によりリコールではありませんが事故に繋がる可能性があるため、セオサイクルではお客様に対し以下の対応を取らせて頂きます。
該当製品をご使用中のお客様はご購入なさったセオサイクルの店舗にて点検を受けてください。
点検対象はRSTサスペンションフロントフォーク装着車であればメーカーは問いません。
1.点検は無料です。
2.メンテナンス不足に拠る破損の危険性があるフロントフォーク(又は既にスプリングが破損している)については、部品代\3,150+交換工賃にてお取替え致します。
注1)無償交換、メーカーリコールではありません。
注2)交換を受ける際に保証書が必要になります(保証書のコピーを取らせて頂きます)。
破損事故は雨ざらしでの保管やメンテナンス不足が原因です。
該当製品のユーザー様は現時点で異常が無くても、自転車の保管とメンテナンスにご留意ください。原因は使用方法とメンテナンスと断定されている。(半年毎にメンテする奴は普通いないからね)
雨天走行や野ざらし保管と定期メンテの未実施はユーザー責任となる見解である。
今回の中島さんも、雨天走行をしたことは認めているし、6年間ノーメンテナンスだったこと、保証を受けられないインターネット通販を利用したことなど訴訟を起こしても勝つ為の条件は整っていない気がするが、2002年製のビアンキ/バックストリートには、このような危険があることを少しで多くの人に知ってもらう為ならば訴訟を起こすのはとても有意義であろう。
きっとお金の問題では無いのだと思う、同じ事故で苦しむ人を増やしたくないのだろう。
<おまけ>
・・・メンテナンス不足というが、水の抜き方マニュアルってあるんですか?と思ったら。
http://www2.ttcn.ne.jp/hagiworld/diy-mtb-repsusp.htm 気にするユーザーは自己責任でここまで整備をするものなんですね。
ネット通販で自転車を買うならここまで出来ないとダメですね。
それが出来ないなら、近所のリアル店舗で買って、定められた定期メンテナンスを受けるべきでしょう。
↑ここまで記事抜粋
自己責任で行う整備の範囲は超えているような気がしますが、確かに安全上やら無ければいけないこと。
ショップに任せるのが絶対に良いと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
ひとつの意見として参考になればと思います。
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